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うちらにとっては当たり前の感覚だったが、
分からない人には分からない。
そういう事があると頭では分かっていたが
いざ直面すると戸惑う。
差押
りぼんで連載していた「こどものおもちゃ」だったかな?
突然自宅に人がやってきて、骨董品や家具に
「差押」という札をペタペタ貼っていかれた
というエピソードがあった様な気がする。
***
今回も離婚の案件。
配偶者からのDVあり。
生活を立てなおすにも、配偶者が非協力的のため
籍が抜けず、生活保護の申請もできない。
また依頼者はDVの仕返しか、離婚よりも
「相手に金銭的ダメージを与えたい」という思いが先行している。
*
給料や預貯金を差押える手続は確かにある。
しかし、債務名義が無い。
相手の財産を強制的に得る為には
正式な理由と手続が必要である。
いくら理由があれども正式な手続を踏まなければ強盗とかわらない。
差押。ウチラは「強制執行」とかよんでいるが
裁判所に執行の申立をする際に
必要な書類の1つが「債務名義」である。
財産を強制的に回収するのに
ちゃんとした理由があることを公的に証明した書面のこと。
良くあるパターンは「仮執行宣言付判決」「執行証書」とか。
注意したいのが「公的に証明」の部分。
たとえば当事者の手書き&拇印による借用書では債務名義に該当しない。
お国が代わって個人の財産を没収するのだから、
書類の質(←?うまい表現が思いつかない)も問われてくるのである。
今回の場合だとDVを受けたことに対する慰謝料という名目だろうか。
しかし、それで金銭支払を明記した書面など無い。
手順としてはまず裁判所に
慰謝料請求訴訟を提起して勝訴判決を得ること。
<シュミレーション>
慰謝料100万を求め
配偶者の預貯金を差押える場合
*訴額:32600円
申立手数料みたいなもの。「訴状」に貼る収入印紙代。
*予納郵券:6400円
前もって収める事務通信費。郵券=切手。
*執行文付与申請:収入印紙300円
*送達証明申請:収入印紙150円
*債権差押命令及び転付命令申立:収入印紙4000円
*予納郵券
債権差押命令分:5300円
添付命令分:2700円
*差押える銀行の登記簿代:1000円
今のところの合計 52450円
これは最低でもかかる費用。
そのほかにも住民票とか弁護士報酬とか入れれば10万は超えるだろう。
そして、それだけお金と時間(最低でも1年)を使ったとしても、
配偶者が借金でもあれば、
差押えた銀行口座の残高0円、良くても数千円だったりする。
生活が苦しいのであれば、なおさらそんなことにお金を使わず、
子供の為にも生活費に回しなさい、時間と労力の無駄ですよ
と依頼者を諭すこともある。
*
法学部出身や、
仕事としてこういうことをやってる身にとっては当たり前の感覚だが、
依頼者が感情的になっていると、
なかなか理解してもらえず残念である。